テストステロンを上げるならマシンとフリーウェイトどちらか比較検証
トレーニングによるホルモンの反応は、筋力向上や筋肉量の増加において重要な役割を果たします。その中でもテストステロンは、筋肉の成長や修復を促進する重要なアナボリックホルモンです。本記事では、フリーウェイトとマシントレーニングが急性のテストステロン値にどのような影響を与えるかについて、提供された科学論文を基に比較・検討します。
結論から話すとフリーウエイトの方がテストステロン値の向上は見られましたがマシンでも90%の1RMなどの最大強負荷など特定の条件があれば向上が見られます。
フリーウェイトとマシンの違い
フリーウェイトトレーニングの効果
フリーウェイトトレーニングでは、特定の研究において急性のテストステロン値が有意に増加することが示されています。Schwanbeckらの研究では、スミスマシンでのレッグプレスやベンチプレスと比較して、フリーウェイトのスクワットでのテストステロン値の増加が観察されました 。
Shanerらの研究でも、同様にレッグプレス(マシン)とスクワット(フリーウェイト)を比較し、フリーウェイトがテストステロン値の増加に効果的であることが示されました 。
マシントレーニングの効果
マシントレーニングに関しても、いくつかの研究で急性のテストステロン値の増加が報告されています。Kotikangasらはスミスマシンでのバックスクワットを用いた研究で、特に最大強度負荷(90%の1RM)でのトレーニングが最も有意なテストステロン値の増加を示しました 。
しかし、全ての研究で一貫した結果が得られているわけではなく、Craigらの研究では複数のマシンを使用したトレーニングで有意なテストステロン値の変化は観察されませんでした 。
トレーニングプログラムによるテストステロン反応
フリーウェイトとマシンのトレーニングプログラムが異なる条件下でどのようにテストステロン値に影響を与えるかをまとめると、次のようになります。
フリーウェイトトレーニング
有意な増加: Schwanbeckら、Shanerらの研究
有意な増加なし: Beavenら、Barnesら、Migianoらの研究では、一定の条件下で有意な増加が見られないことも報告されています
マシントレーニング
有意な増加: Kotikangasら、Ahtiainenらの研究
有意な増加なし: Craigらの研究
フリーウェイトトレーニングは、一般的により多くの筋肉群を動員し、安定筋や補助筋も使用するため、テストステロンの急性増加において優れた効果を示す傾向があります。対照的に、マシントレーニングは特定の筋肉群を集中して鍛えるため、一部の研究で有意なテストステロン値の増加が観察されないこともあります。
また、トレーニングのパラメータ(セット数、レップ数、休憩時間など)がテストステロン反応に大きな影響を与えることも重要です。短い休憩時間(60〜90秒)は、乳酸の急増を引き起こし、これが血中pHを低下させ、カテコールアミンのレベルを上昇させることでテストステロンの増加を促進するとされています。
結論
フリーウェイトトレーニングは、マシントレーニングに比べて急性のテストステロン値をより効果的に増加させる可能性があります。ただし、個々のトレーニングプログラムや実施方法により結果は異なるため、トレーニングの目的や個々の身体条件に応じた適切なプログラムの選定が重要です。テストステロン値の変化を最大化するためには、セット数、レップ数、休憩時間などのパラメータを適切に調整することも重要です。
【参考文献】
https://www.diva-portal.org/smash/get/diva2:1766073/FULLTEXT02.pdf